1986年4月26日に起きたチェルノブイリ事故の被害をめぐっ ては、国連、IAEA(国際原子力機関)、WHO( 世界保健機構)などにより「直接的な死者は50人、 最終的な死者は4000人」 といった過小評価が公式化されてきましたが、 実態ははるかに深刻です。なかでも、 ゴルバチョフの科学顧問を務めたロシアの科学者アレクセイ・ ヤブロコフ博士を中心とする研究グループが2009年にまとめた 報告書『チェルノブイリ――大惨事が人びとと環境におよぼした影 響』(Chernobyl: Consequences of the Catastrophe for People and the Environment)は、英語だけでなくロシア、 ウクライナ、ベラルーシ現地の膨大な記録や文献から、 犠牲者数を少なくとも98万5000人と見積もっています。
東日本大震災と津波が引き金となった福島原発事故により、 私たちはチェルノブイリに匹敵する放射線被曝が日常化する時代を 生きなければならなくなりました。“フクシマ後”の日本人がチェ ルノブイリ被害から学ぶには、その真相を知る必要があります。
このサイトは、 一刻も早く本書の情報を日本語にしたいと願う翻訳者たちが、 ヤブロコフ博士らと協力しながら出版までのプロセスを広く共有す るために開設しました。翻訳作業に参加していただける人、 放射線医学など専門分野のチェックを手伝っていただける方はこちらからご連 絡ください。
星川 淳
作家・翻訳家
一般社団法人 act beyond trust 事務局長